株主、お客様、パートナー、社員の皆様へ
マイクロソフト社にとって
2004 会計年度は、飛躍的な成長を遂げ、革新的な新テクノロジの発展を実現したすばらしい年でした。弊社のすべてのビジネスが成長し、総収入は
46 億 5 千万ドル、すなわち
14 パーセント増の 368 億ドルに達しました。継続事業利益幅が拡大し、特に新規ビジネスが顕著な伸びを示しました。
マイクロソフト社ではここ数年間、Office
System 2003、Media Center とタブレット
PC 用の新バージョン Windows XP®、Exchange
Server 2003、Windows Small Business Server 2003、BizTalk® Server
2004、Speech Server 2004、MSN Messenger 6.2、Windows CE 5.0、小/中規模市場のお客様向けの新ビジネスソリューションなど、すぐれた製品とサービスを提供してきました。ちまたに蔓延するジャンク
メール感染対策、インターネットを介した攻撃に対するセキュリティ侵害対策など、お客様が直面されている大きな問題に対しても、改善を行ってまいりました。Windows
XP Service Pack 2 では、セキュリティに関する重要な進歩が反映されており、これによって
Web ブラウジング、電子メール、インスタント
メッセージングをこれまで以上に安心してお使いいただけるようになりました。
また、弊社と政府との間の法律上の諸問題の解決と、相互関係の強化においても、著しい改善がみられました。このような進歩を踏まえ、マイクロソフト社は今後も成長を続け、株主の皆様に対して長期にわたって価値を創出していく所存です。
それに応じて、投資家の皆様に今までにない規模のキャッシュを贈呈する計画を、役員会で承認いたしました。弊社は、委任勧誘状に記述された株主の方の承認に従って定期配当を増額し、株買取制度を拡張し、1
株あたり 3 ドルの特別配当を行うことにより、次の
4 年間に株主様に 750 億ドルに達する金額を贈呈する計画です。弊社は今後見込まれる巨大成長の機会を確実に捉えるべく、今後も十分なリソースを確保したいと考えております。その実現のために、最新鋭のテクノロジとすぐれた経営の推進によって、社員が一丸となって努力してまいります。
総合的改革
マイクロソフト社の基盤は革新であり、わが社の未来はその革新にかかっています。テクノロジ間で、また多数のサード
パーティ製品やサービスを補完する広範囲のテクノロジを通じて、お客様にこれまで以上の価値を提供するという特殊な立場にあります。これが総合革新です。総合革新はマイクロソフト社のキーとなるビジネス戦略です。
そのために、長期にわたって研究開発を継続して行っています。これまでの投資によって、多数のすぐれた製品を提供してまいりました。また、今後いっそう重要性の高まる知的所有権を蓄積してきました。2004
会計年度には、最新の技術改革の一部に対して
2,000 を超える特許を申請しました。来年度には、さらに
3,000 の特許を申請する計画です。これにより、弊社は世界で有数の特許申請企業となります。マイクロソフト社の革新技術は、特許ライセンス制度によって他社の製品でも広くご利用いただけます。
セキュリティ。マイクロソフト社の改革の中核を成すのはセキュリティです。Windows
XP SP2 での改革をさらに発展させ、インターネット攻撃からコンピュータを保護し、攻撃されたときの防御力を強化する先進テクノロジを開発中です。また、お客様のシステムを常に最新の最も安全な状態に保つため、システムを簡単にアップデートできるサービスを提供しております。ネットワーク
ユーザーを認証し、そのアクセスをコントロールする、より安全な技術も開発中です。エンジニアリングの優位性を推進し、新規開発のソフトウェアを設計上安全なものにするために、新しいソフトウェア開発プロセス、ツール、トレーニングを実施しています。
また、他社と協力して、セキュリティ攻撃に対するより有効なコミュニティ応答を開発中です。さらには、全世界の政府と密に連絡して、サイバー犯罪が罪として裁かれるように働きかけています。私どもの目標は、この広範囲で多岐にわたるアプローチにより、セキュリティを大幅に向上させ、テクノロジの利点をどなたでも享受できる状況を維持することです。
弊社の改革は、今後数年にわたって大きな成長が期待される私どものビジネス全体について、市場機会を増大させることにも重点を置いています。
PC 市場の成長。現在、世界には
6 億台の PC があるといわれています。私たちの予測では、2010
年には 10 億台に達すると思われます。増加分のかなりの割合を、マイクロソフト
社が開発した Media Center やタブレット
PC など、機能が強化された新世代の
PC が占めると考えられます。弊社は、次世代の
Windows である Longhorn の開発に懸命に取り組んでいます。この
PC は、ソフトウェア、ハードウェア、サービスを大きく変え、PC
の普及を拡大し、アップグレードを速めることになるでしょう。
サーバーの移行。ビジネスの世界では、コンピュータ
ネットワークが UNIX サーバーから
PC マイクロプロセッサーで実行される低価格のサーバーへと移行が進んでいます。この傾向により、Windows
サーバー製品の売上が急増しています。弊社のサーバーおよびツール
ビジネスからの収入は、昨年度に
19 パーセント増加しました。弊社は今までお客様と密接に連絡をとり、Linux
や他のオープン ソース
ソフトウェアと比較した
Windows プラットフォームの他と比較できないな価値について話し合ってきました。Windows
は総合所有コストが低く、セキュリティに強く、保障が広範囲にわたっているという報告を、複数の独立アナリストから受け取っています。サーバーとツールについては、特に管理とセキュリティの面で改善する努力を続けています。当会計年度には、SQL
Server™ 2005 は信頼度、セキュリティ、スケーラビリティ、管理機能の点でが向上した、非常にすぐれたデータベース
プラットフォームを提供する予定です。Visual
Studio 2005 は、複雑さの解消とコスト削減を念頭に開発されています。これは、開発者その他のテクノロジ専門家にとっては朗報です。
連続生産性。弊社のインフォメーション
ワーカー ビジネスは成長を続け、2004
年度には収益が17 パーセント増加する見込みです。Word、Excel、Outlook®、その他の
Office 2003 アプリケーションは、ユーザーの生産性を向上させるソフトウェア潜在能力を発揮し始めたばかりだと、私どもは考えています。このツール
セットを Office SharePoint® Portal Server 2003、Windows
SharePoint Services、Office Live Meeting、Office Online、Office
OneNote 2003、Office InfoPath™ 2003 などの新テクノロジとサービスにより拡張しました。また、Office Solution Accelerator
プログラムにより、パートナーに新しいツールを提供し、パートナーと弊社が共同でお客様に新しい生産性ソリューションを提供できるようになりました。共同開発、通信技術、ビジネス
インテリジェンス、プランニング、分析の進歩によって、個人、グループ、組織の生産性を向上させるという需要は巨大です。
ビジネス ソリューション。弊社は、あまり恩恵を受けていない小/中規模ビジネスの巨大市場向けにソフトウェア
ソリューションを提供できる有利な立場にあります。このような企業は、マイクロソフト社のアプリケーションを導入して、財務、サプライチェーン、顧客関係、その他の主要ビジネス
プロセスをより効率的に管理することにより、大きく成長して利益の増加を図ることができます。数年後には、Longhorn
と緊密に統合された新世代のビジネス
ソリューション用共通プラットフォームが開発され、これにより強力な新機能が使用できるようになるはずです。
オンライン検索、サービス、広告。弊社の MSN ビジネスは、2004
年度に広告収入が 43 パーセント増加して
10 億ドルを突破し、初めて通年セグメント収益性を達成しました。このよう成長は、弊社の
MSN.com ネットワークが、ニュース、スポーツ、エンターテインメント、検索、MSN
Messenger、MSN Hotmail® など、豊富な情報と通信サービスを提供して、ユーザーの獲得に成功した結果です。 弊社では、お客様に大きな利益と収入を獲得する機会をもたらす革新的な検索、通信、音楽テクノロジなど、さまざまな新規
MSN サービスに投資を行っています。
スマート モバイル
デバイス。携帯電話と携帯 PC を組み合わせたデバイスのマーケットは、今後数年にわたって大きく成長すると期待されます。弊社では、モバイルの提供によってお客様とデバイス
メーカーが大きな利益を得られるよう戦略的な投資を行い、成長の機会を精力的に追求しています。弊社の
Windows Mobile ソフトウェアは、家庭用電子機器のトップ
メーカーが提供する新製品、Portable
Media Center デバイスの基盤となっています。
エンターテインメント。巨大なビデオ
ゲーム業界では、依然
Xbox が圧倒的な売上を誇っています。発売以来
1 億 5500 万台のコンソールが出荷され、ゲームソフトの種類は
425 を超えています。Xbox は、北米/ヨーロッパ市場では第
2 位の位置につけ、市場リーダーとなりつつあります。24
か国の 100 万人を超えるユーザーにインタラクティブ
サービスを提供する弊社の
Xbox Live™ は、オンライン
ゲーム ビジネスの革新を成し遂げたのです。将来を展望すると、インタラクティブ
プログラミング ガイド、デジタル
ビデオ レコーディング、ハイビジョン
テレビ、オンデマンド
プログラミングなど、さまざまなデジタル
ビデオ サービスがご利用いただける製品ファミリ、Xbox、Windows
XP Media Center、Microsoft TV などのプラットフォームを使用することによって、他のエンターテインメント用デジタルデバイスを作成できる可能性が無限に広がっています。
すぐれた経営と市民権
マイクロソフト社は、テクノロジにおける革新を進めるだけでなく、そのテクノロジを確実に製品に実現しています。特に、お客様とパートナーにすぐれた製品を提供することに、力を注いでいます。社内全体に聞き取り、フィードバック、応答を行う新システムを構築し、お客様の声を身近に聞いてすばやく適切に対応する体制を整えました。自動エラー報告テクノロジを使用して、お客様から報告されたコンピュータの不具合の大半を解決できるようになりました。また、フィールド応答システムを強化することにより、お客様から報告された技術以外の問題の大半を円満に解決することができました。
今後も精力的に問題に取り組んでまいります。同時に、業界で競合他社も含めて良好な関係を維持し、政府機関とも強力な関係を構築していく所存です。また、テクノロジをさらに安全で使いやすいものにする努力も続けてまいります。行方不明の子供の調査および児童虐待の防止に努める国際組織、International
Centre for Missing and Exploited Children と協力して、オンラインで子供の安全を確保するお手伝いをしています。また、オンラインの個人情報を保護し、盗難を防止し、スパム発生を阻止するために、多大な努力をしております。
弊社が業界標準の作成に取り組んでいる一例として、スパム対策があります。それによって、異なるデバイスとソフトウェアどうしの連携が確実になり、テクノロジの進歩を加速させています。マイクロソフト社は、スパムの拡散とオンライン詐欺に使用されている電子メールの偽造を防御する
Sender ID フレームワークの作成に協力しました。Sender
ID フレームワークはインターネット標準として検討を依頼中であり、そうなればどなたでも無料で利用できるようになります。
マイクロソフト社は、世界中のどこでも、ビジネスを行うからにはその地域の経済発展に貢献したいと考えています。その方法のひとつが、お客様の生産性と競争力をいっそう高めるお手伝いをすることです。別の方法として、弊社の
ビジネス モデルの使用があります。このモデルは、世界中の
60 万社を超えるテクノロジ企業とのパートナーシップに基づい構築したものです。これらの企業は、弊社のプラットフォーム上でアプリケーションを作成し、コンピュータ
サービスを提供し、その他のさまざまな方法で各社のビジネスを構築することによって、ローカル
ジョブを生成し、巨額の収入を得ています。世界中の
22,000 のテクノロジ企業を対象に調査したところ、マイクロソフト社が
1 ドルの収益を得ているとすると、マイクロソフト社のパートナー企業は、平均
8 ドルの収益を得ているという結果を得ました。
弊社は、今後もパートナー企業と協力して、テクノロジから得られる利益が世界中の地域社会と教室にいきわたるよう、努力を続けてまいります。昨年だけで、4
億 4 千万ドルを超える現金とソフトウェアを
5,000 以上の学校と非営利組織に寄付しました。弊社は、Unlimited
Potential and Partners in Learning (無限の可能性と学習パートナー)という方針に基づいて、多数の国の政府および地域社会とともに、社員の能力開発と生涯にわたるデジタル
リテラシの促進に取り組んでいます。
眼前に広がる巨大な可能性に対して、胸躍る思いです。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げあげます。
ビル ゲイツ
会長兼チーフ
ソフトウェア アーキテクト
スティーブン A.バルマー
最高経営責任者
 
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